相続登記事例

 このページでは、尼崎法務司法書士事務所で取り扱った相続登記の事例の一部をご紹介致します。

 ※プライバシー保護のため、実際とは若干異なるところがございますので、あらかじめご了承下さい。

 

 【第3順位の相続人への相続登記】

 

依頼者は、40歳男性。

9年前に死亡した兄の所有する不動産を、弟である依頼者名義にするというもの。依頼者自ら、被相続人である兄の出生から死亡にいたるまでの戸籍を収集していたので、相続関係を容易に把握することができた。

 

今回の相続登記は兄から、弟への法定相続によるものであったので、必要な戸籍としては、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と、第1順位の相続人である子と、第2順位の相続人である両親及び配偶者の死亡の記載のある戸籍謄本が必要であった。第1順位及び第2順位の相続人並びに配偶者が生存していれば、第3順位である兄弟姉妹に法定相続権は発生しないからである。

 

しかし、相続登記において、登記事項証明書(登記簿謄本)記載の登記名義人(所有者)と死亡した者が同一人(住所・氏名)であることを確認するため、戸籍謄本とは別に住民票の除票が、登記申請の添付書面となっている。また、住民票の除票が取得できない場合は、戸籍の附票をもってかえるのが一般的である。

 

今回の場合、被相続人死亡から7年が経過していたため、住民票の除票及び戸籍の附票の双方が取得できなかったため(閉鎖されて5年で廃棄となる)他の方法で、被相続人の同一性を証明することとなった。

 

一般的に、上記住民票の除票及び戸籍の附票に変わる書面としては、

 

① 不在住・不在籍証明書及び相続人全員からの上申書

② 被相続人名義の登記済書(権利書)及び相続人全員からの上申書

 

があるが、今回は、①の書面を添付しておこなった。

注意すべき点は、上申書を添付する場合、相続人全員の実印の押印及び印鑑証明書を添付しなければならないことである。遺産分割協議によって、相続登記を行う場合は、遺産分割協議書に付随して相続人全員の印鑑証明書を添付するが、法定相続によって相続登記を行う場合に忘れがちである。

今回の相続登記は、依頼者から受任してから、およそ3週間で無事完了した。

 

 雑 感

本件については、依頼者の相続関係の説明及び戸籍謄本から読み取れる相続関係が一致していたため、比較的容易に登記が完了した。

相続登記でもっとも注意すべき点は、やはり「戸籍の解読」である。いくら、依頼者が相続人は自分であると主張しても、戸籍上他に相続人が判明した場合、依頼者の希望する手続はすることができないケースが多々あるからである。

 

今回の相続登記は、依頼者の段取りの良さのおかげでスムーズに申請することができた。