親権者と未成年の子供が相続人となった場合の遺産分割協議について、親権者は未成年の子の代理人となることはできません。
また未成年の子自身が遺産分割協議をすることも出来ません。
これは、未成年者は制限行為能力者といって単独では法律行為ができないからです。通常、未成年者の法律行為は親権者である法定代理人が未成年者に代わって行うか、法定代理人が同意をして未成年者自身が行うこととなっています。(民法第5条第1項,民法第833条)
ところが、法定代理人である親権者と未成年の子供が相続人となる遺産分割協議では、親権者である法定代理人も遺産分割協議の当事者となるため、親権者と未成年の子の利益が相反することとなります。
このため法定代理人である親権者は未成年の子供の代理人となることができないのです。(民法第826条)
このような場合、親権者は未成年の子のために特別代理人を選任しなければなりません。
仮に、特別代理人を選任せずに、親権者が未成年の子の代理人を兼ね遺産分割協議を成立させた場合、その行為は無権代理行為となり無効となります。
(民法第113条)
清水